畳の交換時期はどのくらい?年数以外のサインや実際の事例付き

2025年2月18日 |  コラム

ご自宅の和室の畳について、ふとこんなことが気になることはありませんか?


「畳が少し色あせてきたけど、このまま使い続けても大丈夫かな?」
「畳の表面がささくれてきたけど、これって交換のサイン?」
「畳ってだいたい何年くらいで交換するものなの?」
「畳を交換する場合、費用や手間はどのくらいかかるんだろう?」

こうした疑問を抱えつつも、忙しい毎日の中で後回しにしている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、畳の交換年数の目安や交換方法、交換費用の相場観などについて分かりやすく解説します。また、実際に畳の交換をした方が、どんな理由やきっかけで、何年くらいで交換しているかという事例もご紹介しますので、畳の交換を検討する際の参考にしてください。

畳の構造

畳の交換期間の目安をお伝えする前に、まず、畳の構造を知ってもらう必要があります。

畳の構造はシンプルです。

畳は、畳の表面部分である「①畳表(たたみおもて)」、畳の縁部分である「②畳縁(たたみべり)」、畳の芯部分である「③畳床(たたみどこ)」から構成されています。畳表と畳縁(縁がついている畳であれば)と違って畳床は目に見えない部分のため、ご存じない方もいるかもしれません。

畳表は天然い草と和紙、樹脂の大きく3種類あります。畳縁は本当にいろんな柄がたくさんあります。畳床は、天然素材のワラ床、ワラ床に断熱材を組み込んだワラサンド床、木質繊維の圧縮ボードに断熱材を組み合わせた建材ボード床などがあります。

畳の交換方法

畳の交換と言うと、今ある畳を処分して新しい畳に交換することをイメージする人が多いかもしれません。しかし、畳には主に表替え・裏返し・新調の3つの方法があります。それぞれ、どんな方法か説明します。

表替え

畳床は交換せずに、畳表と畳縁を新品に交換する施工方法です。表替えではなく、張替えと言うこともあります。

畳表と畳縁をはがして、新しい畳表と畳縁を畳床に縫い付けてお使いいただきます。基本的に、多くの畳屋さんは、午前中にご使用中の畳を引き取って、当日の夕方までに表替えした畳を納品する感じになります。

裏返し

畳床は交換せずに、畳表の使用する面を表裏ひっくり返して縫い付けなおす施工方法です。裏返しと言うと畳自体の表裏をひっくり返すことかと思ってしまうかもしれませんが、畳表の使用する面を裏返します。

畳表と畳縁をはがして、畳表を裏返して畳床に畳表と畳縁を縫い付けてお使いいただきます。裏返しも表替えと同様に、午前中に引き取って当日夕方までに納品するスケジュール感になります。

新調

これは文字通り、新しい畳を製作する施工方法です。畳表、畳縁、畳床のすべてを新しくします。

基本的にオーダーメイドでの製作となります。お部屋の寸法を測定する必要がありますので、納品まで1週間~2週間程度かかるケースもあります。古い畳は納品時に引き取って処分してもらいます。

畳の交換時期目安

畳の構造と交換方法が分かったところで、いよいよ交換時期の目安をお伝えしていきます。

年数に関してはおおよその年数にはなりますが、綺麗な状態を維持していくためには大体これくらいだろうという年数で記載させていただきます。

表替え

表替え(張替え)は、畳表の種類によって目安の交換時期が変わります。

表替え(張替え)をする時期の目安は、
・天然い草・・・5~7年程度
・和紙または樹脂・・・7~10年程度

になります。

裏返し

裏返しをする時期の目安は、
・2~3年
になります。

新調

新調する時期の目安は、
・15~20年
になります。

もしかしたら、他の畳屋さんの記事を読んでいて、畳屋さんごとに書いている目安の交換時期が違う・・・と思った方がいるかもしれません。業界標準として年数を定めているわけではないので、畳屋さんごとに微妙に違ってきてしまうのです。

ただ、大きな違いはないと思いますので、目安として表替え、裏返し、新調をするおおよその年数が分かれば十分です。

年数以外の交換のサイン

上記のとおり年数はおおよその目安としてとらえてもらえれば問題ありません。

実際は、畳の使用環境や状況などによっても畳の傷み方は変わってきますので、年数というより畳の傷みなどが気になって交換を検討する人が大半です。

では、表替え・裏返し・新調を検討するサインはどんなことかお伝えしていきます。

畳表の変色や色褪せ

天然い草の畳表は、日焼けや経年劣化により変色していきます。紫外線や照明などに当たることで、い草の葉緑素が変化して、長い時間をかけて褐色になっていきます。和紙や樹脂の畳表は、天然い草と違って紫外線による劣化が少なく変色や色褪せしにくくなります。

なお、変色したり色褪せしても畳としての性能にほとんど影響はありませんので、そのまま使い続けることもできますが、変色や色褪せが気になる場合は、表替えを検討しても良いかもしれません。

畳表の状態

天然い草の畳表は、たくさんのい草が織り込まれて作られています。畳表のランクによって耐久性は変わりますが、い草は植物ですので歩くときの摩擦や物理的な衝撃によって徐々に傷んで、擦り切れていきます。また、長期間使用していると表面が乾燥してもろくなってきます。そうすると、ささくれや毛羽立ちが発生します。服に付くだけでなく、肌に刺さるようなことがあれば、怪我をしないために表替えをした方が良いかもしれません。

ダニやカビの発生

ダニは室温20~30℃かつ湿度60~80%の室内環境で繁殖しやすいと言われています。天然い草の畳表は、天然素材のため湿気を吸収しやすいため、風通しが悪く湿気が高い部屋では、ダニやカビが発生しやすくなります。また、天然い草の畳表はい草を細かく織り込んでいるため、隙間にほこりや皮脂、食べかす、人間のフケ、髪の毛といったダニの餌がたまりやすくなり、ダニが発生しやすくなります。

和紙や樹脂の畳表は湿気を吸いにくいためダニやカビが発生しにくいですが、極端に湿度が高い環境だとカビが発生する可能性があります。また、畳表だけでなく、畳床にほこりや湿気が入り込むとダニやカビが繁殖しやすくなります。

ダニやカビの発生が畳表だけであれば表替え、畳床まで発生していれば新調を検討すると良いでしょう。

歩いたときの感触

長年使い続けていると畳床が劣化して、畳を踏むと沈み込んだり、弾力がなくふわふわする感触がすることがあります。また畳床が変形し浮きや歪みができると畳を歩くとギシギシ音がして、不安定な感じがすることがあります。

畳床の劣化によるものなので、気になるようであれば新調を検討した方が良いです。

実際の畳交換事例

ここまで、交換の目安となる年数、交換の検討をするサインとなる畳の状態をお伝えしてきました。

しかし、自分が本当に畳を交換した方が良いか悩ましく、「実際に交換をした人たちが、どういう理由で交換したのか参考にしたい」、という人もいると思います。

正直に言ってしまうと、これは人それぞれとなってしまうのですが、いくつか事例を紹介したいと思います。

事例①

分譲マンションにお住まいのお客様が10年ほど天然い草の和室を使用してきましたが、天然い草のささくれや色褪せが目立ちはじめたため張替えもしくは新調を検討とのこと。

現地調査の結果、芯材の耐久性は維持されている状態のため、芯材は再利用し畳表・畳縁を新しいものへ張替を行いました。

使用した畳表は同じ天然い草で安価な物より耐久性が高く、織り込み本数が多い経糸が麻綿芯のものを使用いたしました。

事例②

築30年木造戸建てのお客様が2回ほど張替えをしてきましたが畳の凹みが気になり畳の芯材から交換する新調を検討とのこと。

現地調査の結果、頻繁に足を運ぶ部分の摩耗が多く凹みも顕著のため芯材から交換する新調を行いました。また、昔ながらの藁の芯材が使用されていました。お客様の希望により断熱性能が高い芯材へ変更しました。

事例③

分譲マンションにお住まいのお客様が7年ほど天然い草の和室を使用してきましたが、新たにペットを飼われるとのことで劣化に強い・衛生面に強い畳に張替をしたいとの要望がありました。

現地調査の結果、芯材の耐久性は維持されている状態のため、芯材は再利用し畳表・畳縁を新しいものへ張替を行いました。

使用した畳表は樹脂製であり、撥水性・お手入れのしやすい衛生面の強いセキスイ美草を使用いたしました。

このような感じで、本当に人それぞれです。

交換年数や畳交換のサインは参考にしていただきつつも、ベストの交換のタイミングは「理由はなんであれ、自分が替えたいと思ったとき」です。

畳交換の費用相場

交換のタイミングの考え方が分かっても交換するかどうかの判断は、結局費用がどのくらいかかるかによる、という人も多いと思いますので、費用の相場観をお伝えします。

畳表・畳縁・畳床には種類があることを、畳の構造のところでお伝えしましたが、畳表は種類ごとにたくさんの製品があります。たとえば、天然い草であれば、産地(国産/中国産、熊本/福岡/広島など)・品質・使用量などからランク分けされています。

どのような種類・製品(ランク)を選ぶか、さらに、畳の大きさ・厚さによって費用は変わってきますので、相場はある程度幅のある書き方になってしまいます。そのため、参考程度に見ていただくのが良いと思います。

表替え

表替えの費用の目安は、天然い草の場合、ランクによりますが1帖につき5,000〜20,000円前後になります。和紙と樹脂の場合、製品によりますが1帖あたり10,000~15,000円前後になります。

裏返し

裏返しの費用の目安は、1帖あたり3,500~5,000円前後になります。

新調

新調の費用の目安は、表替えの費用に畳床の費用6,000~10,000円前後と古い畳の処分費用を合計したものになります。

賃貸の場合の注意点

持ち家と違って、賃貸の場合は畳の表替えや裏返し、新調を勝手にすることができない場合があります。必ず、次の2点を踏まえるようにしてください。

1)賃貸契約書を確認する

畳の交換費用をだれが負担するのか(貸主なのか、借主なのか)が明記されているか確認しましょう。通常の経年劣化によるものであれば貸主が負担するケースが多いです。一方で、借主の破損・汚損によるものであれば借主が負担することになるケースがあります。分からなければ、管理会社(または大家さん)に問い合わせて確認しましょう。

2)管理会社(または大家さん)に相談する

経年劣化であれ借主の過失による破損や汚損であれ、管理会社または大家さんに連絡をして畳の状態を確認してもらい、交換の必要性の判断をしてもらいます。管理会社(または大家さん)が必要と判断したら、管理会社(または大家さん)から畳屋に依頼をします。物件ごとに修繕のルールが異なるので、借主の判断で勝手に畳屋に依頼するともめごとになる可能性があるので注意してください。

例:賃貸の和室の畳をヘリ付き畳からヘリ無し畳へ自分の費用で交換したが、退去の際ヘリ付き畳に戻してほしいと大家さんから指摘された。

通常貸主側が普段依頼している畳屋があり、実際に畳を見てもらって、表替えで済むのか、新調した方が良いのかなどを相談して依頼することになります。普段依頼している畳屋以外に勝手に依頼すると、退去時に再度交換が必要と言われて余計に費用がかかることもあります。退去時に不要なトラブルが起きないようにするためにも、勝手に自分で判断しないようにしてください。

依頼する畳屋を決めるポイント

ここまで読んで、交換した方が良さそうと思った場合、どこに依頼すれば良いか悩む人もいると思います。ご近所さんで畳の交換をした方がいて、満足されているなら紹介してもらうと安心かもしれません。ご自分で依頼する畳屋さんを探す場合は、次の5つのポイントをもとに判断すると良いでしょう。

ポイント1.要望をしっかり聞いて提案してくれるか

見積もり依頼をしたときに、要望をしっかり聞いて提案してくれるかです。畳の状態を見極めたうえで適切な交換方法(表替え、裏返し、新調)、ライフスタイルや使用環境を踏まえて畳表の種類(天然い草、和紙、樹脂)、グレードなどを提案してくれると安心できますよね。

ポイント2.サンプルを使って丁寧に説明してくれるか

ホームページを見たり、ホームページが無ければ問い合わせて確認することになりますが、使ったことがない畳表の種類や普段目にすることがない畳床の種類などは、口頭での説明だけではイメージが付きにくいです。そのため、カタログだけでなく、必要に応じてサンプルに触らせてもらいながら見た目や肌ざわりなどを確かめられ、丁寧に説明してくれるかを確認しましょう。

ポイント3.納品後のアフターサービスはあるか

見積もりのときに、万が一、納品後に不具合があった場合に追加料金なしで修正対応をしてくれるか、しっかり確認しましょう。もちろん、不具合がないのが一番ですが、もし何かしら発生した場合でも、しっかり修正してくれると分かれば安心して任せられますよね。

ポイント4.料金が明確な見積書をもらえるか

自分から見積り不要と言わない限り、しっかり見積りをして見積書を提示してくれるかです。見積書がない、見積書の提示があっても見積りに含まれる作業内容の説明がないと内容認識に齟齬が生じて追加費用が必要になるなど、作業後にトラブルになる可能性があります。

ポイント5.リアリティのある良いクチコミがあるか

Googleマップやくらしのマーケットなどでクチコミが載っていれば確認しましょう。クチコミの問題点はサクラによる投稿があることです。そのため、漠然と頼んで良かったです!というもの以外に、リアリティを感じるクチコミで高評価な内容になっているものがあれば参考にしましょう。ただ、実際の対応を見ての判断ではないため、1~4のポイントを優先して、補助的に活用するのが良いと思います。

まとめ

畳は何年くらい使えるのか、交換時期の目安について、目安の年数だけでなく、畳の傷み具合などから考えられるサインをあわせてお伝えしましたが、イメージは付いたでしょうか?

実際にお客様がどのような理由で交換をしたかの事例もお伝えさせていただきましたが、途中でも書いたとおり、もう本当に人それぞれです。そして、これも繰り返しになりますが、替えたい!と思ったときが一番の交換のタイミングです。

「新調したばかりの頃のような天然い草の色が好き、匂いが好きで表替えしたい!」「ささくれが刺さって痛い思いをしたから表替えしたい!」「畳があまりにもブヨブヨした感じで気持ち悪くなってきたから新しく作りたい!」といった畳交換のサインに関連するものもあれば、「ペットを飼うことになったから天然い草から樹脂のものに替えたい!」「内装を含めたインテリアを変えるので、それにあった畳に替えたい!」といった理由もあると思います。

交換をすると決めたら、畳屋選びのポイントを参考にして、自分が納得して安心して依頼できる畳屋さんを選んでいただいて、気持ちよい畳ライフを送っていただけると、畳屋として嬉しいです。

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