和紙畳と樹脂畳とは?い草との違いやおススメの人

2025年3月20日 |  コラム

畳といえば「い草」のイメージが強い方が多いと思います。

近年住宅の洋風化が進み、以前は和室の部屋が一部屋はあることが多かったですが、すべての部屋が洋室ということも増えてきて、畳の部屋が減ってきています。そのような状況で、しかもい草の畳は手入れに手間がかかるということもあり、畳の部屋があっても手入れのしやすい 「和紙畳」や「樹脂畳」 を選ぶ人が増えてきています。

しかし新築で和室の畳の種類を決めるときや畳が傷んできて交換を考えるときに、

「和紙や樹脂って、なんとなく畳らしさがなくなりそう…」
「い草と和紙や樹脂の違いってなに?」
「い草以外の畳って実際に使った感じはどうなんだろう?」

といったことが気になる方が多いのではないでしょうか?

たしかに、昔から馴染みのあるい草畳と比べると、和紙畳や樹脂畳はまだ一般的に知られていないことが多いため、どんな見た目や質感なのか、耐久性はどうなのか気になると思います。実は、和紙畳や樹脂畳は、い草の風合いを再現しながらも、より丈夫で手入れしやすいというメリットがあり、近年採用する家庭や施設が増えています。

この記事では、和紙畳と樹脂畳の特徴、い草畳との違い、実際に注文されたお客様の事例について詳しく解説していきます。畳選びで迷っている方は、ぜひ参考にしてください!

い草畳と和紙畳・樹脂畳との違い

和紙畳と樹脂畳の詳しい内容を知る前に、まず、い草畳との違いから見ていきましょう。

い草畳と和紙畳・樹脂畳の根本的な違いは素材です。

い草畳は天然素材であるい草で作られています。和紙畳・樹脂畳は人工素材で作られていて、そのため工業表や化学表と呼ばれることもあります。

い草畳はい草を編み込んで作られていることから、い草独特の香りや柔らかく温もりのある風合いが特徴です。しかし、い草は湿気を吸ったり吐いたりする吸湿性能があるため、環境によってはダニやカビが発生しやすかったり、色あせや毛羽立ち、ささくれが発生しやすいという特性があります。そのため、長く使うにはこまめな手入れが必要になります。

一方、和紙畳と樹脂畳はい草の代わりに加工した和紙や樹脂を使っていますが、い草に近い風合いが再現されています。また、耐久性に優れ、撥水性が高く水や汚れに強く、カラーバリエーションが豊富という特性があります。手入れが簡単で、現代の暮らしにあわせた機能性があります。

続いて、和紙畳と樹脂畳について詳しくみていきます。

和紙畳とは

和紙畳とは、機械すき和紙をこより状に紡いだ素材でできた畳表です。

いわゆる和紙をイメージすると「水に弱く破れやすそう」とか「安っぽい見た目なのでは?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、表面を樹脂加工することで高い撥水性や強度があり、また、天然のい草に近い風合いが再現され、見た目も本物の畳に近づけて作られています。

和紙畳は、大建工業株式会社がDAIKEN和紙畳を発売しています。

DAIKEN和紙畳のホームページはこちら

和紙畳のメリット

1)水や汚れに強くお手入れがラク

和紙を樹脂コーティングしているため撥水性に優れていて、い草と違って水や汚れが染み込みにくいです。飲み物や食べ物をこぼしても、すぐにサッと拭き取れば綺麗になります。

2)変色や色あせしにくい

和紙の表面を樹脂コーティングしているため紫外線に強く、い草のように日焼けせず、変色や色あせしにくいです。

3)耐久性が高く長持ちする

い草畳と比べて摩耗に強く足の爪のひっかき傷にも強く、傷つきにくく、ささくれにくいため長い期間使っても綺麗な状態を保つことができます。

4)ダニやカビがほとんど発生しない

和紙を樹脂コーティングしているため湿気を吸収しにくく、ダニやカビが発生しにくいです。

5)熱に強い

い草畳のように熱に弱くなく、床暖房に対応した製品があります。

6)カラーバリエーションが豊富

紙を原料とした工業製品で自由に着色できるため、豊富なカラーバリエーションがあります。い草にはないモダンな色が選べるので、和室を洋風なスタイルにしたり、モダンなインテリアに合わせやすいです。

和紙畳のデメリット

1)い草畳のような香りがない

い草特有の香りはありません。天然い草の香りを求める場合は、い草畳を選ぶ方がいいでしょう。

2)い草畳の風合いと異なる

い草畳に近い風合いを再現していますが完全には再現できません。クッション性はありますが、触ったときの感触がやや固いです。い草の柔らかくぬくもりがある風合いを求める場合は、物足りなく感じるかもしれません。

3)初期コストが高い

低ランクのい草畳と比べると価格はやや高めです。しかし、耐久性が高いので長い目で見ればコストパフォーマンスが高いと言えます。

デメリットとして、い草畳と香りや風合いが異なることを挙げましたが、い草畳の香りや風合いが好きで、それを求めているのでなければ決してデメリットにはなりません。触ったときの感触や肌触りは人によって善し悪しが異なりますので、畳屋さんにお願いしてサンプルで確認すると良いです。

和紙畳の使用感

当店で取り扱っている和紙の使用感になりますが、和紙畳は質感が若干硬めでクッション性はい草畳より劣る感じです。しかし、耐久性は富んでいて、ささくれや毛羽立ちはかなり出にく感じです。

お客様の中には「スチームクリーナーを使っても問題なかったと」という感想の方もいるので、撥水性は強く感じられるでしょう。

一方で、一点に荷重が集中すると凹み、押し付けてひっかくようなキズは少し目立ちやすい感じです。たとえば、キャスター付きの椅子や棚を引き摺ったときに線のようなキズができた場合は、かなり目立ちやすいと感じるでしょう。

また、日焼けによる退色はほぼありませんが、摩耗による退色・皮脂による変色は長く使うにつれて、目立ち始める可能性があります。

和紙畳がおススメの方

✔ い草の雰囲気をできるだけ残したい人
✔ 掃除やお手入れをラクにしたい人
✔ 小さいお子さんがいる飲みこぼしや汚れを気にせず使いたい人

樹脂畳とは

樹脂畳とは、耐久性に優れた樹脂(プラスチックの一種であるポリプロピレン)と天然の風合いを表現する天然の無機素材(カルシウム)でできた畳表です。プラスチック畳やビニール畳と表記している畳屋さんもあります。

プラスチックの一種と書くと「畳らしさがないのでは?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、無機素材と組み合わせることで天然のい草に近い風合いが再現され、見た目や質感に畳らしさを感じられるようになっています。

樹脂畳は、積水成型工業株式会社がセキスイ畳「MIGUSA」を発売しています。

セキスイ畳「MIGUSA」のホームページはこちら

樹脂畳のメリット

1)水や汚れに強くお手入れがラク

い草より水や汚れに強いという特徴があります。水拭きができるので、食べ物や飲み物などをこぼしてしまった場合でも、簡単に拭き取ることができ、畳を清潔に保つことができます。小さなお子さんやペットがいても安心です。

2)色あせしにくい

樹脂でできているため紫外線に強く、い草のように日焼けせず、変色や色あせしにくいです。そのため、日当たりの良い部屋でも退色や変色を気にせず使うことができます。

3)耐久性が高く長持ちする

い草や和紙と比べて摩耗や傷に強く、経年劣化が起こりにくく、割れたり毛羽立つことも少なく、長持ちします。ペットの爪や家具の跡もつきにくいので、長い期間使っても綺麗な状態を保つことができます。

4)ダニやカビがほとんど発生しない

樹脂素材のため湿気の多い場所でも湿気が溜まりにくいので、ダニやカビが発生しにくいです。ダニやカビの心配がないため、セキスイ畳「MIGUSA」は日本アトピー協会推薦品になっているので、アレルギーの方も安心です。

5)カラーバリエーションが豊富

樹脂はさまざまな色を着色できるため、和紙畳と同様に豊富なカラーバリエーションがあります。い草にはないモダンな色が選べるので、和室を洋風なスタイルにしたり、モダンなインテリアに合わせやすいです。

樹脂畳のデメリット

1)い草畳のような香りがない

和紙畳と同様、い草特有の香りはありません。天然い草の香りを求める場合は、い草畳を選ぶ方がいいでしょう。

2)い草畳の風合いと異なる

い草畳に近い風合いを再現していますが、表面がツルッとしていてい草畳のような質感とは少し異なります。い草の風合いを求める場合は、物足りなく感じるかもしれません。

3)熱に弱い

プラスチック製なので、畳の上に直接熱いものを置くと表面が溶けてしまいます。また、アイロンやこたつの熱には注意が必要です。

4)初期コストが高い

い草畳と比べると価格はやや高めです。しかし、耐久性が高いので長い目で見ればコストパフォーマンスが高いと言えます。

和紙畳のところでも書いたとおり、デメリットのところにい草畳と香りや風合いが異なることを挙げましたが、い草畳の香りや風合いが好きで、それを求めているのでなければデメリットにはなりません。

樹脂畳の使用感

当店で取り扱っている樹脂の使用感になりますが、クッション性はい草畳と同等程度ある感じです。織られているござの真ん中を指で押すとプニプニと反発力があります。水拭きやアルコール消毒も問題なくできるので、衛生面は和紙よりも上だと感じられるでしょう。

樹脂も和紙と同様に日焼けによる退色はほぼありません。摩耗による退色・皮脂による変色は和紙よりは目立ちにくいと感じられるでしょう。

一方で、劣化の兆候として毛羽立ちがよく目立ちます。い草のささくれ・毛羽立ちとは少し違いますが、ビニールテープを細く裂いたときのようなひょろっとしたけばけばが、劣化してくると出てくる場合があります。

樹脂畳がおススメの方

✔ 掃除やお手入れをラクにしたい人
✔ 小さいお子さんがいる飲みこぼしや汚れを気にせず使いたい人
✔ ペットのひっかき傷の心配をせずに使いたい人
✔ カビやダニ対策を重視する人
✔ 長く使えて劣化しにくい畳が欲しい人

和紙畳と樹脂畳の違い

和紙畳と樹脂畳のメリットとデメリットは似たようなものが多いので、いまいち違いが分かりにくい・・・と感じたかもしれません。そこで、和紙畳と樹脂畳の違いを整理してみました。

和紙畳樹脂畳
見た目・い草の風合いに近い・い草に似せているが、より均一な見た目
・若干光沢がある
変色や色あせ・日焼けによる退色はほぼ無し
・摩耗による退色が若干目立ちやすい
・日焼けによる退色はほぼ無し
・摩耗による退色は目立ち辛い
耐水性・撥水性が高いが、水をこぼすと染み込みやすい場合もある
・強く擦る水拭きは推奨されていない
・撥水性が高く、水拭き・アルコール消毒も問題なくできる
耐久性・ささくれや毛羽立ちは発生しづらい
・経年劣化による退色は発生する
・経年劣化による毛羽立ちが多少発生する
カビ・ダニの発生・発生しにくい・発生しにくい
カラーバリエーション・豊富・豊富

和紙畳と樹脂畳の利用傾向

冒頭部分で、最近は和紙畳や樹脂畳を選ぶ人が増えてきていると書きましたが、「本当にそうなの?」「どのくらいの人が使っているの?」ということが気になる方もいると思います。

公的機関や業界団体などから統計データが発表されていませんので、厳密な数字は分かりませんが、当店での注文傾向をお伝えします。といっても、過去の注文を分析したわけではないので、ざっくりこんな感じ、ということで参考程度に見てもらえればと思います。

(当店のお客様の畳表利用傾向)

2022年 天然い草65% 和紙畳19% 樹脂畳16%
2023年 天然い草72% 和紙畳15% 樹脂畳13%
2024年 天然い草65% 和紙畳11% 樹脂畳24%

約30%前後のお客様が和紙畳・樹脂畳を使用されました。

上記の数字には賃貸物件も含まれていますので個人のお客様に限定するのであれば約10%程和紙畳・樹脂畳の使用率は上昇します

和紙畳と樹脂畳のお客様事例

和紙畳と樹脂畳の説明の中でおススメの方を書きましたが、「実際にどのような方が使っているのか」、「どのような理由で選んだのか」など気になると思いますので、いくつか事例をご紹介します。

和紙畳のお客様事例

事例1)

戸建てのお客様で日焼けに強い工業表を使ってみたいとの希望でした。樹脂畳は若干人工感があるとのことで、質感が落ち着いている和紙畳を希望されました。

事例2)

分譲マンションのお客様で天然い草の畳を使用していましたが、ささくれがひどくなってきたため工業表に変えてみたいとの希望でした。もともと天然い草のささくれ毛羽立ちを不快に感じていたため、若干毛羽立ちが発生する樹脂畳より和紙畳を希望されました。

樹脂畳のお客様事例

事例1)

新築マンションを購入されて13年ほど経過し、天然い草の畳を使用していたが色褪せ・ささくれが目立ち始めたため張替を検討されたお客様。お子さんがアレルギー体質の為、衛生面を重視しアトピー協会にも推薦されている樹脂畳を希望されました。

事例2)

戸建てのお客様で新しくペットを飼うことになり、現在は天然い草を使用しているため粗相をされた場合を気にされていました。衛生面に強く、アルコール消毒等できる樹脂畳を希望されました。

和紙畳と樹脂畳で迷ったときのポイント

ここまで読んできて、和紙畳か樹脂畳にしようと思うけど、違いを踏まえてもどちらにしたら良いか迷うという方もいると思います。そのような方が決めるためのポイントをお伝えします。

衛生面を重視したい場合は樹脂畳をおすすめいたします。

アルコール消毒等お手入れをしっかりすることができます。

また、ペットを飼う予定のお客様は粗相の心配があると思われますので樹脂畳をおすすめいたします。

質感的には和紙畳のほうが落ち着いています。

樹脂畳はどうしても光沢等で若干人工感を感じてしまうので、戸建ての和室でしたら趣きも残しつつ機能性が高い和紙畳をおすすめいたします。

分譲マンションの和室は全面クロスの白基調のケースが多いので、どちらでもよいのかなと感じます。

どちらにしてもお客様の状況によって変わると思いますので、好みの色合いや質感を確かめてもらってご希望の物をお選びいただくのがよいと思います。

まとめ

い草畳に代わって増えてきている和紙畳と樹脂畳について、い草畳との違いやそれぞれの特徴、実際の注文動向やお客様の事例をお伝えしてきました。

畳と言うと、やはりい草畳のイメージが強い中、本当に和紙畳や樹脂畳を使う人は増えているのか?畳として使用感はどうなのか?など不安や疑問がある人にも、和紙畳と樹脂畳の実態やイメージを掴めたと思っていただけたら嬉しいです。

本記事の中では比較をするために違いやメリット・デメリットをお伝えしましたが、畳屋の本音としては、い草畳・和紙畳・樹脂畳のどれが良くてどれが良くないとか、そういうものはありません。

畳を使用される方のライフスタイルやご家族の状況などを踏まえて、「これがいいな!」と思ったものを選んでいただければ良いと思います。ピンと来るものがない場合は、言葉での説明だけだと分からないこともありますので、サンプルを手にとって、手触りや肌触りなどの感触を確かめていただいて、気に入ったものを選んでいただければ良いと思います。

畳は頻繁に張り替えたり交換するものではありませんので、本記事を参考に畳ライフを楽しんでいただけると嬉しいです!

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