畳の表替え相場は?い草の産地・ランクごとの違いと選び方のポイント

2025年4月16日 |  コラム

畳の表替えを考えているけれど、こんなことで悩んでいませんか?

「畳の表替えって、どれくらいの費用がかかるの?」
「い草畳の価格ってピンキリだけど、何が違うの?」
「熊本産と中国産で何が変わるの?やっぱり国産の方がいい?」
「高級ランクの畳と安い畳、実際に使ってみて違いはあるの?」

畳の表替えをしようと思っても、「どんな畳を選べばいいのか?」、「価格の違いは何なのか?」が分からず、決めきれない…そんな方は多いのではないでしょうか?

この記事では、畳の表替えの相場を分かりやすく解説するとともに、特に「い草畳」のランクによる違いと、それによる価格の違いを詳しくお伝えします。

この記事を読むことで、

・い草・和紙・樹脂の畳の表替えの費用感が分かります
・い草の価格が何によって決まるか分かります
・表替えで自分にあった畳を選べます

畳の表替えで後悔しないために、ぜひ最後まで読んでみてください!

畳の構造

畳の表替え価格の相場感を知っていただくために、まず畳の構造からお伝えしていきます。

畳は、以下の図のように「①畳表」「②畳縁」「③畳床」から構成されています。

畳表の種類

畳表には、「い草」「和紙」「樹脂」の大きく3種類があります。

い草畳は天然素材であるい草を編み込んで作られた畳表です。和紙畳は機械すき和紙をこより状に紡いだ素材で作られた畳表、樹脂畳は耐久性に優れた樹脂と天然の風合いを表現する天然の無機素材で作られた畳表になります。

畳表の種類、特に和紙畳と樹脂畳の特徴の違いは、和紙畳と樹脂畳とは?い草との違いやおススメの人」で説明しています。本記事とあわせてお読みください。

畳の表替え

畳替えの方法には、主に「表替え」「裏返し」「新調」の3つがあります。

表替えは、畳床はそのまま、畳表と畳縁を新品に交換する施工方法になります。

裏返しは、表替えと同じく畳床はそのまま、畳表の使用する面を裏返して縫い付け直す施工方法になります。

新調は、新しく畳を製作する施工方法です。

畳替えの方法、表替え・裏返し・新調する目安時期やサイン、実際の交換事例は、「畳の交換時期はどのくらい?年数以外のサインや実際の事例付き」で説明しています。表替えした方がよいか迷っている人は、是非ご一読ください。

畳の表替え価格相場

それでは畳の表替えをする際の価格相場の話に入っていきます。

ざっくり、「い草」「和紙」「樹脂」の相場は以下の感じです。

畳表の種類価格(縁あり/帖)
い草6,000円~20,000円
和紙10,000円~17,000円
樹脂10,000円~17,000円

畳の価格の決まり方

上記のとおり、い草の価格の幅は、和紙・樹脂と比べると広くなっています。

い草はこの後詳しく説明しますので、和紙と樹脂の価格の決まり方(値段が違う理由)を説明します。詳細はメーカーさんから公表されていないため、あくまで当店での捉え方になります。

和紙表と樹脂表は、色と織り方によって値段が変わります。

和紙表ですと銀白100Aといわれる商品、樹脂表だと引目のグリーンが最安価な商品となっており、ベーシックな物が生産量の兼ね合いによりそのような値段になっていると思われます。

また、目積織りになっている商品が通常の引目織りより値段が高い傾向にあり、色の種類によっては後述する京間サイズより大きいサイズのみの生産となっているので、平均より値段が高くなっています。

※目積織りとは一般的に使用されている畳よりも山谷が細かく織られている商品の畳表を指します。

い草畳の価格相場の違い

い草は、「産地」「い草の長さ」「い草の本数(密度)」などによって品質が異なり、価格が決まります

新品のときはどのランクもぱっと見同じように見えます。しかし、日焼けするとランクの違いが表れ、上物は全面均質に日焼けするのに対し、下物は黒筋の混入が多くなったり摩耗が激しくなったりします。

い草の産地

い草の産地は、国内は熊本、福岡、広島、岡山、高知、石川などがあり、主産地は熊本と福岡になります。特に熊本は国内生産の約95%を占め、高品質で有名です。

国産のい草は、外国産と比べるとい草1本1本の密度が高くなっています。しっかり成熟後収穫を行い、選別して製織を行っているため、変色している草の混入が少なく均一にきれいな仕上がりになります。

また、私の感覚にはなりますが香りについても外国産と比べると国産の天然い草のほうが爽やかですっきりとしたいい香りだと感じます。

外国産のメインは中国産になります。中国産のい草は、耐久性・香り・質感は国産より劣ることが多いと言われていますが、全ての品質が悪いわけではなく等級によっては国産と同等・同等以上のものもあります。特に四川産は仕上がりが良いといわれています。

産地によって品質が異なり価格が変わると言っても、一般の人には見た目で産地は分かりません。そこで、産地証明のQRタグや農家さんの写真入りの生産者ラベルによって、産地を確認できるようになっています。

い草の長さ

長さが長いほど、品質が高くなり、価格も上がります。

長いい草を使った畳は織りが均一で、耐久性が高くなります。

長さ品質等
長い(120cm以上) 高級品(目が詰まり、美しく長持ち)
中くらい(100~120cm) 一般的な品質
短い(90cm以下)安価(耐久性が低く、見た目も劣る)

い草の織りの密度(本数)

一畳の畳表に織り込まれる「い草の本数」が多いほど、品質が高くなり、価格も上がります。

織りが密な畳ほど、見た目が美しく、耐久性も向上します。

密度品質等
高密度(7,000~8,000本以上)高級品(耐久性が高く、肌触りが滑らか)
中密度(5,000~7,000本)一般的な品質
低密度(4,000本以下)安価(摩耗しやすく、粗さが目立つ)

い草を織り込める本数は織り方によります。

い草畳の畳表は、綿糸・麻糸・麻綿の経糸(たていと)に、い草を緯糸(よこいと)にして織り上げます。経糸は高級品から順に、麻麻、麻綿、麻、綿綿、綿の順になります。経糸の強度が高いほどい草の織り込み本数が増やせ、目が詰まり厚みのある丈夫な畳表を織ることができ、耐久性が向上します。

い草畳のランク別価格相場

い草は長さによりランクが決められ、長いものほどランクが高く、価格も高くなります。

ランク価格帯(一畳)長さ密度経糸使用感
最上級品
(おすすめ品⑤)
20,000円~140cm以上7,000本以上麻綿or麻麻最上級JAブランドひのさらさを使用
株の中で1番育っている1番草を集め製織した畳表
上級品一種用
(おすすめ品④)
15,000円130cm以上6,000~6,500本前後麻綿JAブランドひのさくらを使用2番草相当を製織した畳表
上級品三種用
(おすすめ品③)
11,500円120cm以上5,500本前後麻綿JAブランドひのさやかを使用2番~3番草を製織した畳表
中級品
(おすすめ品②)
10,000円110~120cm5,000本前後麻綿JA新品種涼風を使用。茎が太く肉厚な畳表
下級品
(おすすめ品①)
8,000円110cm前後4,000本~綿綿安価ではありながらJAS1等品以上の畳表
普及品7,000円120cm前後5,000本前後麻綿中国産ではありますが麻綿の4本芯で下級品より織り込み本数が多め
安価品5,000円100cm前後3,500~4,000本前後綿中国産で安価品JAS2等品相当の品質

なお、当店で取り扱っているい草畳の表替えの料金はこちらになります。(税抜)

その他価格に影響すること

染土(泥染め)の有無

い草は刈り取った後、乾燥する前に染土を水に溶いた液で泥染めという作業をします。泥染めをすることで、「ムラのない均一な色合いになる」、「日焼けによる変色を防止する」、「弾力を保ちクッション性を良くする」、「い草の表面を保護し耐久性がアップする」といった効果をもたらします。

最近では泥染めを行わない、い草の素材そのままの「無染土い草」もあります。無染土い草畳は通常の天然い草畳と違い、染土が付着していません。

基本的に染土が付着している天然い草を使用した畳は製作時および納品時に拭き上げを行いますが、目の部分にはやはり多少残ってしまう場合があります。通常の使用でも畳を踏み込んだ際、染土が舞う可能性が否定できませんので、呼吸器等アレルギー関係を気にされる方は無染土い草畳がおすすめです。

ただし、無染土い草は生産量が限られているため、染土を行っている天然い草と同等の規格仕様でも価格が高くなる場合があります。価格に関しては、畳屋さんに直接確認すると良いです。

畳のサイズの違い

畳のサイズには、「江戸間」、「京間」、「団地間」など、いくつかあります。

同じ畳でも、一畳の大きさが変わりますので、価格が異なります。

畳の規格サイズ(cm)
江戸間176×88
京間191×95.5
団地間 170×85

畳の厚さの違い

また、畳の厚さによっても価格が異なる場合があります。

一般的に使用されている畳の厚さは約45mm~60mm程度ですが、お部屋の仕様によっては15mmまで薄い場合があります。薄い畳の場合は芯材の材料の種類が変わったり、加工方法が変わる場合があるため、価格が異なる可能性があります。

表替えする畳の選び方

い草畳

・い草ならではの香りを楽しみたい方。

い草畳の中でも、

・間に合わせ・とりあえずきれいにしたい・使用頻度が多い部屋で頻繁に張替をするかもしれない場合は外国産の安価なもの
・コストパフォーマンスを重視するならある程度耐久性がある経糸が麻綿4本芯の外国産もしくは国産綿綿
・純粋に畳の良さを感じたい・客間で使用頻度が少なく焼けても綺麗な状態を求めるなら国産麻綿以上の商品

和紙畳

・い草に近い、落ち着いた質感を求める方。趣を残しつつ高い機能性があります。

樹脂畳 

・衛生面を重視したい方。アルコール消毒等お手入れをしっかりできます。
・ペットを飼っている方、飼う予定の方。ペットの粗相が粗相してもお手入れが簡単です。

まとめ

畳の表替え費用の相場感は分かったでしょうか?

畳と一言でいっても、伝統的ない草畳だけでなく、和紙畳や樹脂畳といった工業表もあり、費用は変わってきますし、その特性からおススメの人も変わってきます。

特にい草については、産地や長さ、密度などの要素によって品質や使用感が異なり、和紙と樹脂に比べて、費用の幅が大きくなります。

畳の表替えは頻繁にするものではありませんので、後になって後悔しないよう、「価格だけで選ぶ」、「産地だけで選ぶ」、「畳屋に薦められたから選ぶ」のはやめましょう。表替えにあたって何を重視するかを明確にすることで、満足度が高いものになります。 本記事を参考にして表替えの相場感を把握するとともに、ご自分にあった畳を選んで満足できる表替えをしていただけると嬉しいです。

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